人工知能の原理

技術的解説

人工知能が計算する仕組み

人工知能とは、「人間の知性的な活動を全て機械に代替させる」という抽象的な概念を言うものですが、情報工学ではより厳格に、機械学習と呼ばれています。機械学習とは「既知の数値データ列から、未知の範囲となっている数値を予測する」技術を総称して呼びます。例として、図1のような数値データが与えられた場合を考えます。

図1.与えられた数値データ

これらの数値(点)の間の値を予測することを考えます。すると、最も簡単には図2.のようになります

図2.隣り合う数値を直線で結んで未知の値を予測したもの

図2.は折れ線グラフ(線形補間)と言われて最も親しまれている予測方法ですが、これでも立派に未知の範囲の予測としては成り立っています。これが機械学習です。実は、機械学習とは数学的に表現すると補間曲線を描くアルゴリズムの事を指しています。補間とは、未知の範囲の数値を予測することを指しますから、機械学習(人工知能)には、未知のものの予測が可能なのです。

人工知能と古典的な統計的手法の比較

有意性が低下せず近似精度を上げられる

古典的な統計的手法では、近似精度を上げるためには独立変数を増やしていくしかないため精度を上げれば有意性が低下するという問題がありました。独立変数を増やすということは、全ての事象は独立である、すなわち「全ての事象は偶然発生した」と言い切ってしまうに等しく、因果関係の否定、意味は無いということになってしまうからです。一方、機械学習でよく用いられているニューラルネットには、従属変数を増やすことで近似精度を上げることできるという重要な性質があり、独立変数を増やすことがないため、有意性を損なう事がありません

超多変数を扱える

古典的な数式は人間が扱える範囲という制限があるため、少ない変数しか扱うことができませんでしたが、人工知能は10変数、100変数、1000変数といった超多変数の計算が可能です。

予測精度が分かる

人工知能は学習結果を人間の言葉で解説することはできません。 ニューラルネットは行列式であるので、数式を書き出すことは可能ですが、行列の要素数が非常に多く、どんな関数であるのか人間が直感的に理解することはほぼ不可能です。ここで重要なことは、何故か、という解説を人間の言葉で行うことではなく、学習結果として得られる「予測精度」になります。